本講座は,1970年7月に岡田敏秋(故人)を初代教授として開設されました。以降、年表にあるように,大橋秀法が2代目,小森成一が3代目教授を務め、海野年弘が4代目教授を務め今日に至っています。現在、海野,松山の2人体制で講座を運営し,学部生4名と大学院生1名の教育・研究指導にあたっています。
研究活動については,岡田・大橋時代からの平滑筋の研究が現在も発展的に継承されています。具体的には,腸平滑筋を対象とした研究で,
(1)ムスカリン 受容体をはじめとする薬物受容体の細胞内シグナル伝達および
カルシウム動員機構
(2)神経から平滑筋へのシナプス伝達機構
(3) 受容体作動型イオンチャネルの同定および制御機構に関するもの
そのほか
(4) 膀胱や血管,神経に対する生理活性物質や薬の作用と作用機序
(5)ウイルス感染が神経細胞イオンチャネルに及ぼす影響
(6) 有機スズなどの環境汚染物質による神経毒性の発現機序
などがあります。いずれの研究でも,本講座が伝統的に得意とする電気生理学的実験(細胞内ガラス微小電極法,パッチクランプ法)が重要な位置にある。最近は,ムスカリン受容体の各サブタイプをノックアウトしたマウスを導入し,未解決の謎に迫っています。
講座の行事としては,開設当初からのジャーナルクラブ(論文精読会) が従来通り週1回当番制で続けられています。若いうちに英語論文を正確に読み解く訓練を徹底してやっておくべき,とする講座の信念がそこには込められてい ます。大橋時代の1996年から始められた附属演習林施設での2泊3日の夏季セミナーも続けられています。まる2日間勉強浸けの生活ですが,打上 げバーベキューでは,全員が学究の徒としての充実感と連帯感に満たされます。開設当初から恒例であった1泊2日の講座旅行も続いています。研究室 以外の場で学生と教員が時間を共有することは,人間関係の希薄化が懸念される時代にこそ大切ではないでしょうか。近頃は,教育の場においてさえ効率主義が 声高かに叫ばれ,捨ててならぬものまで捨ててしまう傾向にあります。本講座は今後も守るべきは守り,取入れるべきは取入れる姿勢で教育・研究にあたること を改めて確認したいと思っています。
昭和 45年(1970) 46年(1971) 53年(1978) 56年(1981) 57年(1982) 59年(1984) 62年(1987) 63年(1988) 平成 2年(1990) 3年(1991) |
家畜薬理学講座開設 初代教授 岡田敏秋 大橋秀法 助教授着任 武脇義 助手着任 修士課程積上げ6年制教育開始 岡田 定年退職(名誉教授) 大橋 教授昇任 武脇 助教授昇任 農学部:岐阜市柳戸に新築移転 武脇 London大学留学(2年間) 6年制一貫教育へ移行 修士課程獣医学専攻廃止 小森成一 助手着任 農学部:4学科へ改組 小森 London大学留学(2年間) 連合大学院獣医学研究科新設 大橋 連大研究科長(2年間) 武脇 連大研究科へ移籍(専任教授) 小森 助教授昇任 講座開設20周年記念 岡田名誉教授 叙勲 |
平成 4年(1992) 5年(1993) 9年(1997) 10年(1998) 11年(1999) 12年(2000) 14年(2001) 15年(2002) 16年(2003) 17年(2004) |
海野年弘 助手着任 岡田名誉教授 逝去 小森 教授昇任 海野 London大学留学(1年間) 大橋 農学部長(1年間) 海野 助教授昇任 大橋 岐阜新聞大賞受賞 定年退職(名誉教授) 小森 韓国平滑筋学会招待講演 大橋退官・講座開設30周年記念 松山勇人 助手着任 海野 平滑筋シンポジウム Kiev大学:招待講演 学部・講座名変更:応用生物科学部 獣医薬理学分野 小森 連大研究科長(〜20年迄) 生理学会(Oxford大学:招待講演) 松山 Melbourne大学留学(2年間) |
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岐阜県岐阜市柳戸 1-1
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